3本の木

 あるところに3本の木が並んで立っていました。もうすぐ切り倒されて自分が何に生まれ変わるのかということを楽しみに話し合っていました。
1本目の木は「僕はきれいな宝物を入れる箱になりたい!」と言い、2本目の木は「僕は立派な船に乗って大きな海をわたるんだ!」そして3本目の木は「私はずっとこの山にいて高い木になり、私を見る人たちが神様を思い出すようなそんな木になりたい」と言いました。

しばらくして3本の木は木こりによって切り倒されました。その後1本目の木は大工さんのところへ運ばれ、なんと家畜の餌箱へと変えられてしました。木は「僕はこんな餌箱になんかなりたくなかった」とがっかりしました。2本目の木は造船所へ運ばれ小さな船になりました。木は「僕はこんな小さな船になりたかったんじゃない」と落胆しました。3本目の木は太い材木にされそのままになりました。「どういうことなのかしら。私はただあの山に立って神様をさしていたかったのに」と言いました。

何年も何年も経ちました。3本の木は自分たちが見た夢のことなどすっかり忘れていました。ある夜1本目の木は生れたばかりの赤ん坊を入れていることに気がつきました。1本目の木は気がつきました。自分は世界で一番尊い宝物をお入れしているのだと。ある晩2本目の木は嵐の湖の上を何人もの男を乗せていました。人々は恐ろしさに震えていましたがある人が立ち上がって「しずまれ」と言うとあらしがぴたりとやみました。

その時2本目の木は「自分は天と地をおさめる王を乗せているのだと気がつきました。ある金曜日のことです。材木になった3本目の木は引き出されあざけり、ののしる人々の間を運ばれていきました。木は震えました。兵士がきて一人の人の手を木に釘で打ちつけました。しばらくしてすべてが変えられたことを3本目の木は知ったのです。神様の愛で1本目の木は本当に美しくなり、2本目の木は実に強くなりました。そして人々は3本目の木のことを思う時神様のことを考えるようになりました。


注釈1)聖書 ルカ2章
 イエス様を身ごもったマリアとヨセフはベツレヘムへの旅の途中で救い主イエス様を宿屋の馬小屋で出産しますがその時ゆりかごの代わりに使われたのが、飼い葉桶(家畜の餌箱)でした。世界で初めのクリスマスの夜です。1本目の木はこれになったのです

注釈2)聖書のマタイ8章、マルコ4章、ルカ8章
 小さな船で弟子達と湖を渡る最中ひどい嵐に出くわし、弟子達は恐れあわてるのですが、イエス様は立ち上がり一言で嵐を静めました。2本目の木はその船になっていたのです。

注釈3)聖書ヨハネ18〜19章
 イエスキリストは裏切り者のユダによって十字架にはりつけにされ処刑されました。当時の指導者は自分こそが王だと思っていたので神の子だと名乗るイエスをねたんでのことでした。息を引き取る間際にイエスは「神よお許しください、彼らは何をしているのかわからないのです」と叫びました。それを側で聞いた百人隊長は「この人は本当に神の子であった」と理解したと聖書に書かれています。その3日後イエスは死に打ち勝ち復活したことで神様の大いなる計画を実行されました。それこそが
人類の救いです。3本目の木はその十字架の木になったのです。

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